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予期せぬ不幸 [つれづれ《哀》]

つい先日、たいへんショックなことがあった。
この記事は書こうかやめようか迷ったが、日記として書くことにした。
辛い話なので、お嫌な方は引き返してください。




























私はそのニュースを見ていなくて、翌朝知り合いから事故を聞き、
その内容に震えが止まらなくなってしまった。
知人夫婦に起こった不幸な自動車事故は子供2人の命を奪うものだった。

自家用車を運転していたのは、奥さんで、同乗していた3人の子供のうち、お兄ちゃんとお姉ちゃんが亡くなり、奥さんと一番下のお子さんはほとんど無傷だったと聞いている。
ご主人は別行動で、奥さんは自分の実家に行った帰り、単独で起こした事故だった。


10年ちょっと前、娘がまだお腹にいて検診に行ったとき、同じ病院で出産したばかりの彼女に会った。
「同学年だね!」
あのときの彼女を繰り返して思い出す。
彼女が抱いていた赤ちゃんは、うちの娘と同じ10歳のお兄ちゃんになり、彼女にとっても初めての子供で、顔を合わせればお互いの子供について話すのが常だったのに。
成長や、保育園、学校、学童、勉強、何度話しただろう。

3年後に長女を、さらにその3年後に次女を授かった彼女は、同じ働く母でも私よりずっとたいへんな育児だったと思う。

けれど、いつもちゃきちゃきした明るさと、気の強さも垣間見えるが、しっかり者の印象が強く、
3人の子持ちとは思えないようなかわいい彼女と、会えばいつも笑い合っていた。


その悲報があった日、私は忙殺された。
共通の友人から何本か電話があったが、ほんとにその日が多忙でよかった。
なんとか仕事を片付けて、車に乗り込むと急に気分がざわざわと落ち着かなくなってしまった。
フロレスタンさん、その節は、ありがとうございました。



それから数日、あれこれ考えた。

お通夜に行こうか。
それともお葬式・・・。
でも、でも、でも。
かける言葉もない。
顔も見られない。
冷静になる自信もない。
出向く勇気がない。

どうしても事故の状況を自分と娘に重ね合わせてしまい、
私だったら狂ってしまうだろうと息苦しくなる。
彼女のことを考えると、何度も何度も涙が落ちた。
しかし、私が考える何倍もの絶望と悲しみの深みに、彼女は落ちているのだろう。


結局葬儀には行かなかった。
お通夜も身内だけ、香典花代は一切を断ると聞いて、行かないことに決めたのだ。
そっとしておいてほしいのだろうと理解した。



あれから2週間。
彼女はどうしているだろう。
私はもう彼女に会えないのだろうか。
私と会えば、彼女は娘と同い年のお兄ちゃんを思い出すだろう。
二度と以前のようにバカ話で笑えない気がする。

助かった末娘は5歳さん。
まだまだ手がかかる。
だから、辛い気持ちもわかるけど前に進まないと・・・なんて
私には言えない。
いつまでも泣いてたら天国の二人が悲しむよ・・・なんて
言えない。

自分が運転する車でわが子を死なせてしまったのだ。
さっきまで元気だった子たちの無残な姿を目の当たりにしてしまったのだ。

前に進む。
言うのは容易い。
そんなことは頭ではわかっている。
もし、私が彼女の立場だったら、前に進むことなんて
上を向くなんて、放棄するだろう。

子供の服、机、本、大事にしていたもの、すべてが持ち主を失って、
気配が残る、その家で暮らしていけるのか。
想像しただけで、体が強張り、痛みまで感じる。

それでも彼女とご主人は、残された末娘さんを幸せにするために
笑って生きていかなければならない。
なんて残酷なんだろう。


人は、それぞれ他人には想像できないような痛みや、秘密を持っていたりするものだ。
しかし、そんな看板を首からぶら下げて歩くような人はいない。

知らずに接することは責められない。
けれど知っている場合、相手の痛みをわずかでも心得ている場合、
果たして、遠慮することが最善なのかと私は今すごく考えている。
触れないことが正しいことなのか。
正しいことが必ずしも最善ではないことも、今の私はわかっている。

私が癒してあげようなんて、そんな大それたことは考えていない。

けれど、この先、彼女と会ったとして、
私がどのような態度をとればいいのか、私はどうどうめぐりの渦から当分抜け出せそうにない。



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コメント 4

フロレスタン

あ、なんか名前が出ているので(^_^;)、少々コメントしますが、これは本当に当事者でないと実感できない難しい問題ですね。

少しの間、距離を置くのがよいかもしれません。

ところでお母さん、自動車運転致死罪でしたっけ、問われないのかな。書類送検くらいはありそうですが…
こういう同乗すべき事故の場合、日本の官憲はどう扱うのでしょうか。
by フロレスタン (2009-10-08 00:35) 

蓮花

すみません、お名前出しちゃって。
そうですね、物理的な距離を置くつもりです。今のところ。
罪についてはどうなんだろう?調書も取れる状態ではなかったと聞いていますが、今は・・・。
道路そのものの管理瑕疵もあるようですし。
by 蓮花 (2009-10-08 19:20) 

satoco

以前大切な友人を亡くしたことがあります。私にとって悲しみだけでなく少なからず自責の念を伴う状況でした。そのとき周囲の方からたくさんの言葉をかけてもらいました。その時はつらさが増すだけだった言葉も、後になって言ってくれた方々の気持ちをありがたく感じるようになりました。
事件の直後にそばにいてくれた友人は何も言いませんでした。救われました。後でその話をしたら、その友人は、「あまりのことに言葉がなかった。だから何も言えなかっただけ。どうしていいかわからないから何もしなかった」と答えました。
蓮花さんはきっとそんな風に何もしなくてもお友達の気持ちをいやされることと思います。

それにしてもやりきれないですね。みなさんの上に少しでも安らかな眠りが訪れますようお祈りいたします。
by satoco (2009-10-25 22:15) 

蓮花

辛い経験を乗り越えてこられたんですね。
>その時はつらさが増すだけだった言葉も、後になって言ってくれた方々の気持ちをありがたく感じるようになりました。
そう感じられるsatocoさんだからこそ、乗り越えられたのかなとも思います。
何も言えなかったというお友達の気持ち、とてもよくわかります。
どんなに考えて、慎重に言葉を選ぼうとしても、相手の気持ちがわかるほど、どんな言葉もむなしく思えるだけですから。
今もまだ連絡を取ることができないのですが、いつかきっと言葉はなくても彼女に会いたいと思っています。
by 蓮花 (2009-10-27 20:59) 

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