SSブログ

『吉原手引草』 [読書]

豊崎社長ご推薦だったこれを図書館で予約して半年。
やっと借りることができて、読み始めたらあまりの面白さに
一気に読み上げてしまった。


吉原手引草

吉原手引草

  • 作者: 松井 今朝子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本




ちなみに昨年2007年の上半期(夏)の直木賞受賞作。


花のお江戸の吉原といえば、当時の日本一の歓楽街。
その吉原の花魁、葛城(かつらぎ)を巡るお話。
しかし、本文に葛城本人は出てこない。
なぜなら、葛城はある日忽然と吉原から姿を消したから。

遊女の中でも最高級とされた花魁は、
人々の羨望の的ではあったが、
決して自由ではなく、身請け以外に郭の外に出られない囚われの身。
なのにその花魁がきれいさっぱり消え去ったのだから、
大スキャンダルとなる。

その事件を追う一人の男が
葛城に関わった人たちに取材し、語る人々の1人称で物語は進んでいく。
聞き手の男の声もないのだ。

お金の代わりに売られてきた遊女、
そのヒエラルキーのトップに君臨する花魁は、
艶やかで美しく、そして賢く、女っぷりがよくて、
でも一生郭から出られないのだと、
私の知識はそれだけだった。
あと、坂東玉三郎さんの揚巻ね。

この本は、そんな私にもたいへんわかりやすく、
また吉原に働く人々(遊女だけでなく)、
吉原に通う男たちなどの話をとおして、
吉原とはどういうものか、
遊女とは花魁とはどういうものかが鮮やかに描かれていて
とっても面白い!

消えた葛城は、
どうやって消えたのか、
なぜ消えたのか、
そのとき何が起こったのか、
葛城とはどんな花魁だったのか。
それらが、少しずつ少しずつ語られて、
葛城本人を身近に感じてくるようになる。


色を売る仕事、そうでない仕事でも
のし上がり成功するためには
ただ美しいだけではダメなのが
現代にも通じる。


それにしても店(見世)で一番の花魁と遊ぶってのは
ずいぶん手間とお金がかかりんすなあ。

超おすすめ!

nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 2

Sho

なるほど、そういうお話でしたか。
お恥ずかしいことに、私は時代物が全くよめなくて、ずいぶん損をしていると思っています。
こちらは読みやすそうですね。
「花魁」というのは、女として知識教養あらゆる意味で「最上位」ですよね。
花街の世界というのは、とても興味深いです。
ぜひ読んでみたいと思います。
by Sho (2008-11-13 08:51) 

蓮花

実は私も時代物を読むのが苦手で、今までほとんど読んでいないのですが、それでもこれはすごく読みやすいので、時代物を思わずにすいすい読めます。
作者の松井今朝子さんは、すごく苦労して書かれたそうですが、まるっきり現代語でもなく、それでもその時代を感じる言葉のひとつひとつが、すごくいきいきとしています。
楽しめますよ、おすすめです。
by 蓮花 (2008-11-13 21:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。