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伯母 [つれづれ《哀》]

「おば」と書こうとして、いつも「伯母」か「叔母」のどっちだったかわからなくて
結局ひらがなで書いたりしていた。
私のおばが亡くなった。
父の姉なので「伯母」が正しい。

父は6人兄弟の末っ子で、いちばん上の姉とは一回り以上歳が離れていた。
だけど、その末っ子の父が最初に53歳で亡くなり、そのときの伯母や伯父たちの嘆きようといったら
なかった。
伯父や伯母たちはみんな元気だった・・・わけではなく、長姉と東京にいる伯父は、やたら元気なのだが、
ほかの4人はそうでもなかった。

なのに、もっと弱っている人よりもM伯母が亡くなった。


校長をやっていたり、元の家柄もよく、田舎なのに、田舎だからか、プライドが高い伯父や伯母たちの中で、
当時の日本たばこ専売公社に勤めていたM伯母が異彩を放っていた。

そのころバリバリと働いていた女性もめずらしかった時代だと思うのだが、
スパスパ煙草を吸っていたのは、たぶん日本たばこ専売公社で働いていたからではないと思う。
このM伯母は細かい事を言わず、やわらかくしゃべり、話がいつも面白く、私はこの伯母が大好きだった。
豪快な人であったが、いつも話し方は穏やかで、70代後半になってもユニークな発想と
古いこだわりなどとは無縁の人だった。

「蓮花はいっつもM伯母さんのそばにおるな」
何かの集まり、だぶん法事だったと思うが、親戚にそう言われたとき
まだ幼かった私は
「M伯母さんのお話、面白いんよ」
と答えた。

すると
「まあ、Mはアカだからなあ」
と誰だったか忘れたけどそういう声がして、まわりの大人たちがふんふんとうなずいていたのを
覚えている。


母に「アカ」の意味を尋ねても私にはよく理解できず、成長してからようやくその意味がわかったときも
それとM伯母の人間的な魅力とどう関係があるのか、よくわからなかった。
M伯母以外の伯父や伯母は、悪い人たちではないのだが、私にはなんの面白みもない人たちだった。
体裁と家の面子ばかりを気にしている親戚の中で、M伯母だけが好きだったのに。

近くに住んでいるわけではないので、M伯母に限らず、親戚たちとも頻繁な行き来があるわけではないが、
親戚の集まりでも、もうM伯母に会えないかと思うと、猛烈に寂しい。

父の次に逝ってしまった。



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コメント 4

フロレスタン

あー、ちょいと突っ込みますが、

>当時の日本たばこに勤めていた

当時の専売公社、間違いではありませんか?
私の実家の近くにも何年か前まで工場がありました。

親戚って、亡くなってもどうとも思わない人もいれば、寂しさを覚える人もいますね。
そんなに可愛がってもらったわけではないけれど、大叔母(父方の祖母の妹)が亡くなった時に、ああ、と思った記憶があります。

私のところは両親とも長生きの家系なので、親戚に70代後半から90代くらいまでの高齢者がたっくさんいます。こっちが先に死にそうだ(^_^;)。あ、でも父の兄弟は皆いなくなってしまったから、爺婆がいるのは母方の親戚と父方の祖父母の親戚だな。

M伯母さんに合掌。
by フロレスタン (2009-03-24 23:22) 

蓮花

あー、そうですそうです!ありがとうございました、今直しました。
>親戚って、亡くなってもどうとも思わない人もいれば、寂しさを覚える人も
そうですねえ。
同じように顔を合わせて、お付き合いしているはずなのに、なんでかなあ。
うちも父方だけが残っているのですが、もうあまり法事に行きたくなくなったです。こんなこと言っちゃいけないんですけど・・・。
ここだけの話ということで。


by 蓮花 (2009-03-25 06:36) 

Sho

お悔やみ申し上げます。

やっぱり人の一生の中で、すごく印象に残る人、何かしら影響を受ける人、
なんだか素直に好きな人― こういう人達って、すごく大事ですよね。
M伯母様は、蓮花さんの心にしっかりと大きなものを根付かせた方なのだと思います。
by Sho (2009-03-25 09:05) 

蓮花

お気遣いありがとうございます。
はっきりとした理由がなくても、大事に思う人はいますね。
波長が合うのでしょうね。
あまりにさみしいです。

by 蓮花 (2009-03-27 07:04) 

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